"United Kingdom
of Great Britain & Northern Ireland"
= a - z =

> Review

1960年代中期、瞬く間に全世界を席捲したザ・ビートルズ、ザ・ローリング・ストーンズを輩出した英国に於いて、有名デッカという単一レーベル限定ながら、NME（ニュー・ミュージカル・エクスプレス）のジャーナリスト陣、ロイ・カーとチャールズ・シャール・マーレイが、レニー･ザ･ケイの "Nuggets" にインスパイアされ、本国ブリティッシュ･ミッド・シックスティーズ・サウンドをプロト・パンクとして捉え監修･編集したもので、前者ロイは、ジョー・ミークも一部関わった1960sビート・グループ Executives の中心メンバーでもあり、更に、ストーンズやビートルズの単独検証本の出版などでジャーナリストとしても名を馳せており、まさに内と外から本場ブリティッシュ・ビート・シーンを知り尽くした人物、ビッグ･ネームのストーンズを除いた編集方針からも単なる商業目的でないという決意表明が窺える。また、単なる寄せ集めではなく、ポイントポイントでの重要グループが的確にピック･アップされ、同時に、短きミッド･シックスティーズ･ビート･シーンの歴史をも紐解こうとする編集方針が窺え、様々な観点から相当考え抜かれた優れた編集盤だと思います。ほのかに漂う懐古趣味的一面は、ご愛嬌。

蛇足： スペシャル･サンクスには、"Nuggets" の編者レニー･ザ･ケイの名もしっかり列挙されています。

August 2004 monaural66

> Review

1960年代ブリティッシュ・ビートの陰の立役者、ヤードバーズ加入以前のジェイムス・パトリック・ペイジことジミー・ペイジがセッション・ギタリストとして関わった音源を、ツェッペリン・ファンクラブが1979年に2枚組みにまとめてリリースしたもので、現在は Voxx から2枚に分けてリリースされているが、収録内容は多少異なる。

オープニングは、1963年彼のファーストセッション J. Harris & T. Meehan "Diamonds" で、トゥワンギーなギターがいかしたマカロニウエスタン調のインストロ。Redcaps による Chuck Berry "Talking about you" は、彼の関わったものの中でも指折りの素晴らしさを持つ。3曲収録された Mickie Most は、Vince Taylor "Brand new cadillac" をヒントに作られた "That's alright" の出来が良く、ジャズから発祥したオクターブ奏法を挟む彼の閃きも光っている。粘りつくようなギターで始まる Dave Berry による Arthur Crudup-via-Elvis Presley "My baby left me" のアレンジは、プレスリーというかスコッティ・ムーアの大ファンだった彼だけに、特別な想いが込められてるような気がする。First Gear の強力フリークビート Little Willie John "Leave my kitten alone" も素晴らしい。更に、彼らは Yardbirds がデビューシングルとしてリリースした Ernie E-Doe "A certain girl" も演ってます。2曲収録されている Mickey Finn は、どちらもカッコいいけど特に怪しくクールな "Night comes down" がお気に入り。数少ない女性モノだが Pickwicks による Rolling Stones "Little by little" のアレンジがいい。

そして、キンキービート炸裂の Jimmy Page リーダー作品 "She just satisfies" は、キンキービート生誕にも携わった彼のエッセンシャル・チューン、1980年代ネオ・ガレージの旗手ザ・クロウダディーズもレパートリーにしてました。ブルーズハープとオルガンが大活躍の "Keep Movin'" も素晴らしいけどギターソロは少々オーヴァープロデュース気味、個人的にこの曲の場合サラリと短めのソロ或いはソロ・カットの方が良かったのではないかと。Primitives "You said" と、 "How do you feel" は、よく知られているけど改めてカッコいい。そして、アレンジ・センスが素晴らしい Lulu & The Luvvers によるタフ・リズム&ビートパンク Rolling Stones "Surprise surprise" は、熱い。ザ･ヤードバーズの2曲 "Hot house of omagarashid", "I'm confused（dazed & confused）" は、未発表ヴァージョン。そして、ラストは、Kinks のセッションでも演ってる Shel Talmy コンポジション "Bald headed woman"、ここでは Sheekers でのセッションワークを収録。

とにかく、彼のタイム感、イマジネイション溢れる強力なサウンドは、一発で聴いてそれと判るほど個性的。改めていい仕事してます。それから、ジミーページのリーダー作品2曲は、ドラム以外全て彼が手掛けていたんです、もちろんヴォーカルも・・ こんなにカッコよかったんだよね、セッション時代は・・

蛇足： ザ・フー、ザ・キンクス、ゼムでのセッションワークはよく知られているけど、あのプリティーズにも一枚噛んでます。

May 2002 monaural66

> Review

パンク･リズム&ブルーズ･ストンパーが並ぶ激ヤバ編集盤、ヒドイ（素晴らしい）リマスタリングもヤバ過ぎる。UK コンピだけど、ザ･シェインズはスウェーデンのバンドで、このシングル曲は、本国スウェーデンでリリースされたミッドテンポ・ヴァージョンではなく、イギリス・リリースの別ヴァージョン。

その Shanes "I don't want your love" UK ヴァージョンは、5ピッチぐらい上げた高速パンクと化しており、一発録りっぽい熱気が魅力的、SWE ヴァージョンは、v/a Searchin' for Shakes に収録。Chasers "Hey little girl" は、ボ･ディド･イット的サウンドで、ブルーズハープもキマっててカッコいい。Descendants "Lela" は、v/a Bo Did It, v/a Pebbles vol.7 にも収録された、小気味良い高速ボ･ビート。そして、個人的一押しトラック、Rainchecks "How are you boy" は、ミッド･テンポのマイナーキーパンクで、フォーキーなギターリフとメロの絡みに常習性あり、更に、ハンズクラップが入ってる所がまた魅力的。Denims による、性急なビートのマイナーキーパンクも前トラック同様魅力的で、哀愁たっぷりのメロが高速ビートの風を切る様は胸が締め付けられます。ソングライター / プロデューサーとしても知られる Miki Dallon は、彼が曲提供もしてる Sorrows をバックにパンク度数高めのタフなリズム&ブルーズパンク "Do you call that love" で、シャウトしてます。Beatstalkers のモッドなストンピン R&B もかなりいける。Shorty & Them のチープなオルガンがいい味出してるノヴェルティ色漂うロックンロールもいい感じ。

B面は、主にフリーク色濃厚な R&B ~ モッド・ジャズ系で、A面の様な派手さはないものの、かなりのクオリティを保った曲が並んでます。しかし、何と言っても圧巻なのはトリを任された Artwoods の10分以上あると思われる Sam Cooke "Shake" のライヴ・ヴァージョンで、スタジオ音源からは想像できない程パンクなんです。この Chants R&B 並みのライヴ音源聴いて、それまで持ってたオーソドックスでオーセンティックな R&B コンボという認識を改めました。しかし、10分以上の長尺トラックにも関わらず、だれる事無く、異常とも言える超ハイ・テンションを保ってるのもちょっと怖いかも。

August 2004 monaural66

> Review

全てアセテート音源で固められたシリーズで、アセテートオンリーという制約の為サウンドはかなりバラつきがあるんですが、アセテートのみと言うのは、ある意味ガレージファンにとって最高の贅沢且つ究極のコンピレーションじゃないかなって思うんですけど。

各ヴォリュームで気になった曲をかいつまんで紹介します。

ここには何故かバックフロムやパンクバラッズに収録されてるアメリカのザ・ブリガンズが迷い込んでます。まあ、それはさておき、何と言ってもこの盤のハイライトは、Kinks "I need you" を激プリミティヴにアレンジしたような Soul Proprietops "All" ですね、この激ロウ・サウンドには殺られます。

残念ながら無名グループだけど、これ程ガレージーな John W. Bubbles "Ain't Necessarily So" を聴いたのは初めて、特にまるで地獄からの地響きのようなリズムが凄い。B面8曲目は、これまた無名グループになってるけど、同曲が Unforgettable Amnesiacs 名義で　Diggin' for Gold vol.2 に収録されてます。

かなり端折った紹介ですが、全体的に、サイクポップ系、アートロック系やサイケ系など個人的に馴染めない音も多々混在する中、基本的にアセテートにはほとんど金掛けずに吹き込まれるデモに近い簡易ヴァージョンが多い為、図らずもアメリカのローカル・ティーンパンク系に多く見受けられるプリミティヴでロウな稚拙パンク系に近い音が楽しめたりするシリーズとなってます。また、Dig the Fuzz の同系統コンピ The Amphetamine Generation シリーズも、やはりアセテート限定という制約付きの為バラつきは否めないものの、それなりに興味深い音源が含まれてるのでまた何れ紹介します。

Oct. 2004 monaural66

> Review

明確なテーマとともにオリジナルマスター使用という良質な編集盤をリリースし続ける優良レーベル、シーケルから、有名無名関係なく、クールでヒップでタフなブリティッシュ・リズム&ブルーズがピックアップされた編集盤です。

編集盤のメイン&サブタイトル、それにオープニングが、アレクシス・コーナーとともにブリティッシュ・リズム・アンド・ブルーズの祖と評されるシリル・デイヴィースのデビューシングルを持ってきた事でこの編集盤のテーマがより明確に示されており、編者ブライアン氏の意識の高さを感じます。ブリティッシュ・リズム&ブルーズ / ビート・シーンは全てここから始まったんですね。その他、ブライアン氏なりの1963年から1966年のブリティッシュ R&B シーンの流れがまとめられ、有名無名関係なく密度の濃い厳選された選曲になってるので、ある意味安心して楽しめるという表現が適切かどうか判らないけど、結構これが正直な感想です。

Brand による Lazy Lester "I'm a lover not a fighter", Kinks による Sleepy John Estes-via-Ricky Nelson "Milk cow blues", Soul Agents による John Lee Hooker "Let's make it pretty baby" など大半がブルーズ / R&Bのカヴァーだけど、これらのアレンジから、当時のブリティッシュ・ビートバンドが如何にクリエイティヴで豊かな発想を持ち合わせていたかが良く判る選曲になってるのではないかと。

August 2004 monaural66